デリバリーではなく仕出しと言う方がしっくりきます

コロナ禍の昨今、今まであまりなじみのなかった”テイクアウト”という言葉が市民権を得、出前とは言わずデリバリー。何なら、ウーバーのほうが通じたりするようになり、一気に変わっていく言葉についていくのが大変です。

 

30年ほど前から、当宿では”仕出し”を承っておりました。

昔は、結納、葬式、法事、四十九日など、冠婚葬祭を各家で行っていたうえに、子供の初節句やお食い初めなどのお祝い事やお祭りなどには親類を呼び、祝いの席を設けるのがもっぱらでした。

そこに、折り畳みのお膳を持ち込み、皿に盛ったお料理を別に搬入して、ご予約を受けたおうちでセットしてくるのです。

昔の家は襖を開ければ何十畳にもなるように作られており、20~30名ぐらいの宴席なら余裕でお膳を並べることができました。

お祝い膳には鯛が付き、ご供養の際には影膳も用意する。

そんなことを、各ご家で代々行ってきた催事のお手伝いとして承ってきました。

今で言えば、ケータリングでしょうか。

しかし、コロナが来る前から少しづつお膳を運ぶような仕出しはなくなり、逆に宿の方に出向いての宴席が増えました。そして、ついにこのご時世になると、集いの席もなくなってしましました。

 

世知辛い世の中と思うか、別の方法でお祝いや供養の時間を持つか。

そんな岐路に立たされている時期ではあると思います。

そんな中でも、当宿は仕出しを承っております。

と言っても、お弁当~折り詰め料理までご予算に応じてです。

さすがに、お膳を持ち込んでの宴席のお手伝いということではなく、お持ち帰りいただけるパッケージにして配達するという形です。

これを、デリバリーと呼ぶか。お客様に取りに来ていただくのはテイクアウトと呼ぶか。いやいや、ただの弁当の配達でしょ。と言うか。

でも、まだまだうちは、仕出しと呼びたいと思っております。